前回は住民税について、入社1年目の新入社員は支払いがないよっていうお話でした。
今回は新卒社会人の皆さんに向けて、住民税と同じく原則としてサラリーマンのお給料から毎月引かれる社会保険料についての解説となります。
入社して2年たったけど、初任給が一番多かった!なんてこともあるかもしれませんよ…
天引きされる社会保険料の種類
「社会保険料」というのは複数の社会保険制度の保険料の総称です。
社会保険制度とは「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険」「労働保険」のことを指しますが、一般的にはここから労働保険を抜いた厚生年金・健康保険(介護保険)のことを社会保険料と指す使い方のほうが多いかもしれません。
ひとつひとつ説明するととても長くなってしまうため、今回はごく簡単にまとめます。
社会保障制度のうちサラリーマンが保険料を負担しなければならないのは上記の通り「厚生年金保険料」「健康保険料」「介護保険料」、そして労働保険のうちの「雇用保険料」の4つ。
ただ40歳未満は介護保険の被保険者にはなりませんから、新卒サラリーマンのお給料から天引きされるのは年金・健康保険・雇用保険の3つになります。
保険料率はそれぞれ異なりますが、年金保険料が一番高くなります。
給与天引きの時期
3つの保険料は全て給与天引きとなりますが、年金・健康保険の2つと雇用保険は天引きのタイミングが異なります。
下図の通り年金・健康保険は翌月、雇用保険は当月です。
厚生年金保険と健康保険の4月保険料は5月の給与から天引きされます。
新入社員の場合、入社した4月分からそれぞれの被保険者となり保険料を納めなければなりませんが、それは5月給与から天引きとなるので、4月の初任給ではこの2つの保険料天引きがない!ということです。
保険料の中でも一番高いのは厚生年金。次いで健康保険。
この2つの保険料がお給料から引かれないってことは、当然手取り額がその分増えますよね。
4月の給与明細を見て「思ったより手取り額多いじゃん!やった~!」なんて気を抜いてはいけません。5月からきっちり天引きされるようになりますから…
ちなみに厚生年金と健康保険はその月の末日の状態でどこに所属するかを判定します。
入社日が3月31日の場合、たった1日しか所属していなくても3月の保険料は会社を通じて納めることになるので4月給与から天引きされます。
逆に、月末日に会社に所属していなければその月の保険料は天引きされません。
退職日が1日違うだけでこんな↓差が生まれます。
3月31日退職 | 3月保険料は給与天引きされます。退職に伴い4月の給与支払いがない、あるいは少ない場合は、3月の給与から2月,3月の2ヶ月分が天引き(こちらが一般的)または翌月会社へ振込等で支払うことになります。 |
3月1日~30日退職 | 3月保険料の天引きはありません。 退職日の翌日に転職先に入社した場合、転職先の4月給与で3月分の保険料として徴収されます。 退職後、家族の扶養に入るのであれば3月分の保険料から支払う必要がなくなります。 |
会社員という立場が変わらなければどこの会社から天引きされるかの違いですが、家族に扶養されたりフリーランスになる場合は、月の途中で退職するとその月から社会保険上の立場が変わることになります。(月末退職の場合は翌月から)
まとめ
新入社員の給与から天引きされる社会保険料は以下の3つです。
(1)厚生年金保険料 | 入社の翌月から天引き開始 |
(2)健康保険料 | 入社の翌月から天引き開始 |
(3)雇用保険料 | 入社月から天引き開始 |
(1)と(2)の給与天引きは5月から。
その金額は一般的な新卒者の給与テーブルでも2万円~3万円程度と、小さな金額ではありません。
だからこそ入社初年度は4月の手取りが多くなる…どころか住民税のことを踏まえると、2年目を含めても手元に入るお金が一番多いのは入社月の初任給なんて可能性さえあります。
初任給で思ったより手取りが多い!なんて浮かれて使い過ぎてしまうと、翌月困った事態になりかねません。4月は手取り額から3万円ほどを除いてから、1ヶ月の給料の配分(使うお金・貯めるお金)を決めるようにしましょう。
そしてその3万円はご家族への感謝のプレゼント…なんて素敵かもしれませんね。
初任給は社会人のプロとして初めて受け取るお給料です。
大切に使ってくださいね。
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