前回の資産運用と資産形成は違うという話の中で、資産運用ならiDecoやNISAがおススメと書きました。
今回は確定拠出年金(iDeco)は貯金ができない浪費家こそやるべきというお話。
理由は以下の4つ!
ひとつずつ説明していきます。
「先取り貯金」に近い仕組み
収入の一部を先に貯金に回して残ったお金で生活しましょう。
そうすればいつの間にかお金は貯まっていきます。
これがいわゆる「先取り貯金」。
会社員がiDecoを始める場合、給与から掛金を天引きしてもらい、会社がiDecoの運営管理機関に代わりに払ってくれる(事業主払込)という仕組みがあります。
その場合、収入として手元に入ってきませんから、つい使ってしまうなんてことがありません。
もし、企業型確定拠出年金制度があって、さらには加入者掛金(マッチング拠出)制度という、社員が自分のお金を上乗せして拠出できる制度を導入している会社にお勤めなら、加入者掛金をぜひやってください。
iDecoの事業主払込と同じく、給与から天引きしてあなたの確定拠出年金口座へ拠出してくれます。
事業主払込はiDecoの申し込み時に会社に申し出て、希望しなければなりません。
お勤め先によっては対応してくれないこともあるかもしれませんので、事前に確認しておいたほうが安心ですね。
対応してもらえなかった場合は、仕方がないので自分の口座からの引落になります。
iDecoの引落日は毎月26日。
毎月25日が給与支給日の人は翌日ですから、先取り貯金に近い感覚で拠出できますね。
支給日が10日、15日という方は間が空いてしまうので…我慢して残しておきましょう(^^;
ちなみに私は給与支給日が25日ですし、会社にお願いするのが面倒なので口座振替にしています。
引き出しができない
iDecoは制度的に引き出しができるようになる年齢が決まっています。
2020年現在で60歳。
つまり、60歳になるまで一切の引き出しはできません。
自分のお金なのに、一旦入れたら出せないなんて、なんだか横暴のようにも思われますが、その分大きな税制優遇があるので仕方がありません。
厳密には、加入期間がとても短い場合など、一部の条件で脱退してお金を引き出すこともできるのですが、かなり限られた条件なのでできないものと考えた方が良いと思います。
そしたら…ね!
いくら使いたくても口座から下ろせないじゃないですか!
浪費家でも安心!iDecoのお金は絶対使えないから!
「先取り貯金」は給与天引きこそ最強!
…となると、事業主払込ができない場合は「財形貯蓄制度」が先取り貯金の最有力候補です。
ただ、財形は引き出しができてしまうんですよね…
企業によっては引き出しも会社に届け出なければならない場合もありますが、私が勤めていた会社は通帳持って銀行窓口へ行けば自分で引き出せることができました。
今ならネットバンキングで、財形口座から簡単に普通口座へ移すことすらできます。
そうなると、財形貯蓄は簡単に引き出せてしまうわけですよ。
生粋の浪費家には向きません。
私もその昔は普通財形で貯蓄していたお金を散々引き出しました。
もう銀行窓口へ行くのが恥ずかしくなるくらい。(思い出したくない過去(^^;)
それに銀行貯蓄の利息は現在ほぼないようなものですから、その点でも財形貯蓄制度のメリットは昔に比べると低くなってしまいました。
それなら、絶対引き出せないiDecoの方がやはりおススメできます。
給与支給日とiDecoの口座振替日が離れている方も、毎月数千円~数万円までなら26日まで残せますでしょ?ギリギリまで使ってしまう人でも5000円くらいは残せるはず!
「引き出せない」という強制力が財形貯蓄よりも効力を生んでくれるはずです。
目標に向けて貯蓄する感覚が身につく
iDecoや企業型確定拠出年金はその名の通り「年金」ですから、老後に備えるためのもの。
だからこそ年金受給相当年齢まで引き出しができない制度となっています。
2019年に「老後2000万円問題」が話題になり、老後資金に不安を覚えて準備しておかなければ!と考えた方も少なくないはず。
そんな不安に一番効果があるのがiDeco。
「自分が老後を迎えるまでに〇〇〇円準備しておきたい」
という目標に向かって、時間をかけて資産形成していくことができます。
この”貯める目標”を決めることが資産形成において実はとても大事。
例えば40歳サラリーマンが老後資金を2000万円用意しようと考えれば、↓こんな風に具体的な金額まで見えてきますよね。
収入が少なくなったあるいはなくなった後(老後)の生活資金
【目標】
65歳までに2,000万円貯めたい
【方法】
あと25年で2000万円=年間80万円、月額で約67,000円ずつ貯めることに。
→運用利回りがある方法なら月額67,000円はいくらまで下げられる…?
多くの人は給与の受け取りが「月額」、個人事業主だって収入は月単位で見ますよね。
具体的な金額を月額ベースまで落とし込むと行動に移しやすくなります。
他にも例えば↓こんな使い道や目標を立てるとします。
- 来年車を買いたいから100万円貯めよう!
- 結婚したいから3年かけてあと300万円貯めよう!
- 事業を始めたいから節制して1年で200万円貯めよう!
具体的な目標があれば、自然と「じゃあ毎月いくらずつ貯めよう?何で貯めていこう?」と次のステップ ”月額金額の算出”や”貯蓄の方法”へと向かえるわけです。
浪費家はお金の使い道と目標を決めておくことが苦手です。
なぜかというと、”今、このとき”の幸福感を満たすためにお金を使ってしまう傾向にあるから。
私がそうでした。
よし!次の車検前に車を買おう!貯金しよう!!
と決意しても、具体的な期間や月額貯金額をちゃんと決めていなかったり、貯金に真剣さがないのでお金が貯まってくると「まぁまた貯めればいいか」という安易に引き出してしまったり。
結果、車の購入を諦めるか、ローンを組んで買うことになる。
その点 iDecoは資産形成の目的がはっきりしていて、毎月決まった掛金が積み立てられるし、加入するとほぼ強制的に続けることになるので、浪費家にも「お金の使い道を決めて毎月貯める」感覚が自然と身についてきます。
ね?なかなかイイ!と思えてきませんか?
資産運用の基本が身につく
私が資産運用に興味を持ち、勉強するきっかけになったのも確定拠出年金でした。
前職で他部署から人事部に異動し、企業型確定拠出年金の担当になった後、確定拠出年金口座で貯まっていた預金や保険を全て売却し、投資商品に変更しました。
そうすると、年単位の資産上昇幅が明らかに大きくなっていきました。
え?投資信託すごい!複利運用の効果絶大!
と実感し、その後は運用利回りを気にするようになり、日経平均や為替を気にするようになり、資産配分を考えたり、他の資産運用…NISAや株式投資を始めるようになりました。
自然と資産運用の基本が身について、次の資産運用へと繋がっていったんです。
iDecoでは制度的に最初から投資における2つのリスク回避ができています。
1つは毎月一定額を定期購入することによる投資タイミングのリスク分散。
もう1つは60歳までの長期運用となることによる時間リスクの分散。
投資先を分散することによるリスク回避だけは、商品選択によって自分でしなければなりませんが、実は初心者でも投資を始めやすい制度なんです。
そして、自分の意志で投資信託を選んだら、その後少なからず値動きや利回りを気にかけるようになりますよね。
少ないリスクで投資について興味を持てるようになり、もしかしたらその先に深く興味を引く運用の世界が待っているかもしれません。
そうすると自然の運用の基本も身についてきます。
以上、お金を浪費してしまう方にこそiDecoで資産形成を始めてみてほしいな、というお話でした!
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